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本ブログは、S/4HANAと連携したSAP Datasphereでのモデリングのポイント解説 STEP1,2の続編になります。

ステップごとに全3回のシリーズでご紹介しています。
このブログは、STEP3についてです。

 

分析モデル構築までの3ステップ

STEP1:ファクトとなる 会計伝票明細データ の連携

STEP2:ディメンションとなるGL勘定階層データ の連携

STEP3:換算レートの連携 と 通貨換算ビューの有効化

 

STEP3では、S/4のACDOCAに格納されている会社コード(JPY)のデータをグローバル通貨として定義したUSDに換算するというシナリオを想定して説明します。

SAP Datasphereでは、S/4HANAやBW/4HANAなどのSAPシステムとの接続をサポートしていますのでSAP Datasphere 上でTCUR* テーブルおよびビューによる通貨換算機能を有効化することによってSAP 接続や別のスペースから共有されたテーブルに基づき、マニュアルで通貨換算ビューと必要なサポートオブジェクトが自動的に作成されます。

 

STEP3構成図


作業の流れ

以下の手順でSAP Datasphereを使用して通貨換算を行う方法を説明します。

1.S/4HANA側での事前準備:換算レート更新

2.SAP Datasphereで通貨換算ビューとそのサポートオブジェクトを作成する

3.SAP Datasphereで通貨換算データをデータフローでインポートする

4.SAP Datasphereで通貨換算を利用して新しい計算列を追加する:分析モデル(キューブ)での追加方法

5.SAP Analytics Cloudストーリーからデータを取得

(補足)SAP Datasphereで通貨換算を利用して新しい計算列を追加する: ビュー(ファクト)での追加方法

 

1.S/4HANA側での事前準備:換算レート更新


S/4HANAでT-code:OB08を利用して換算レートを登録します。
テーブル:TCURRに登録された換算レートのレコードが追加されます。



2.SAP Datasphereで通貨換算ビューとそのサポートオブジェクトを作成する


SAP Datasphereで通貨換算ビューおよび必要なサポートオブジェクトを作成するためのソースを選択し作成します。

新規->通貨換算ビューをクリックします。


 

ソース選択画面が表示されますので、S/4HANAとクライアントを選択します。
※SAP DatasphereとS/4HANAとの接続設定等についてはこちらこちらをご確認ください。


ソースを選択すると、自動的にデータフロー、テーブル、ビューにビジネス名/技術名が表示されますので、確認した後に作成ボタンをクリックします。
作成された通貨換算ビューおよび必要なサポートオブジェクトを確認します。
作成が完了後、検索ボックスに「SAP.CURRENCY.」と入力して検索をすると下の図のように自動的にデータフロー、テーブル、ビューが作成されています。



3.SAP Datasphereで通貨換算データをデータフローでインポートする


作成された下の表のデータフローを実行します


データフロー実行結果


テーブルにデータが更新されたことを確認します。例)SAP.CURRENCY.TABLE.TCURR


他のデータフローについても同じことを繰り返してください。

また、データフローは必要に応じてスケジュール実行の設定を行ってください。

4. SAP Datasphereで通貨換算を利用して新しい計算列を追加する:分析モデル(キューブ)での追加方法


今回の例はG/L勘定明細データの会社コード通貨(JPY)をグローバル通貨(USD)に転記日付を元にして通貨換算をします。

計算結果を格納する為にメジャーの追加で通貨換算メジャーを追加します。
※通貨換算メジャー以外の計算・制限・固定値カウントメジャーはこちらをご確認ください。

分析モデルでは、事前にビューでセマンティックタイプと単位列を設定する必要があります。
※参照日付に設定する項目はデータ型をDateにする必要があります。


メジャーの追加->通貨換算メジャーをクリックします。


プロパティが表示されますので以下のように設定します。
※プロパティの詳細設定についてはこちらをご確認ください。


プロパティの設定が完了しましたらデプロイをします。

 

5. SAP Analytics Cloudストーリーからデータを取得


ストーリを実行すると、転記日付を元にして換算レート0.00916を利用して計算していることがわかります。



(補足) SAP Datasphereで通貨換算を利用して新しい計算列を追加する: ビュー(ファクト)での追加方法


分析モデル(キューブ)での追加方法同様に通貨プロパティと換算プロパティを設定することができます。
計算結果を格納する為に計算列ノードで新しい計算列を追加します。
新しい列のプロパティがサイドパネルに表示されますので以下のように設定します。

新しい計算列の追加->通貨換算列をクリックします。


 

Elementプロパティが表示されますのでプロパティを以下のように設定します。

 

通貨プロパティ

ソース金額列:金額(会社コード通貨)

ステップ:変換

元通貨:会社コード通貨

目標通貨:グローバル通貨

参照日付:転記日付


 

換算プロパティ


拡張プロパティ

精度エンティティ以下の”~エンティティ”には、自動生成されるLocalテーブルではなく、そこから作成されるビューを設定してください。

ビューを設定しないと、SAP Analytics CloudからSAP Datasphereに接続の際に権限エラーとなってしまうので注意してください。


プロパティの設定が完了しましたらデプロイをします。

 

最後に

本ブログでは、S/4HANAで設定した通貨換算機能をSAP Datasphereに簡単に取り込み、参照日付を元として換算レートを取得して通貨換算する方法をご紹介しました。

本機能の導入前、通貨換算はSQL スクリプトを利用する難易度が高いものでしたが本機能は簡単に通貨換算を実現することができますのでご参考になると幸いです。

 
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